2年ぶりのCESでラスベガスへ CES2018

2年ぶりのCESでラスベガスへ CES2018

2年振りのCES。巨人Google、Amazonが戦うプラットフォームの勢い。IoTはまだまだ複雑性を生活に持ち込むだけだけど、スタートアップの中には少しづつテクノロジーを生活へ自然に溶け込ませる兆しも見えてきた、など雑感。

音声AIプラットフォームの勢い

一昔前のIoTブームのように、音声エージェントが大きな話題に。Alexa、Hey Google、2つの音声エージェントがBuzzワード。GoogleはLVCCにラッピングモノレールや巨大ブースでかなりお金をかけて露出を目指し、既に先行しているAmazonは各社が対応機器を発表することで自動的に存在感が高まっていた。家電メーカー大手がそれぞれでプラットフォームを作り、囲い込もうとしていて誰も囲い込めていなかった2年前から比べると、様変わりしたなと感じた。

超巨人とプラットフォームを持たざる者が有利に

IoTブームと異なる点はAmazonとGoogleの主導権争い激化で、プラットフォームがオープンに、そして民主化。大手メーカーとスタートアップとで扱える機能の違いはほぼ無く、例え無名メーカーであっても高い性能のAIエージェントが作れる時代になった。

Google、Amazon。プラットフォームは今後も巨人だけのものなのだろうか。ブロックチェーンに関する動きも見られることを期待していったが、展示物はハードウェアウォレットくらいであまりなかった。

ブロックチェーン型AI、IoT、検索プラットフォームとか出てこないのだろうか。巨人が管理するのではなく、末端のAI機器同士が関係性を持ち、頭が良くなっていく。ここ5年間はプラットフォームが台頭。次の革新はGoogle、Amazon、Facebookのような巨人が管理するプラットフォームではなく、真の意味でITが民主化される日が来るのか、みたいなことを期待していたので今年のCESはとりあえずGoogle、Amazon頼りの製品が乱発されている少し残念な内容だった。

IoT+AIで機器がより人間的に

Sans ExpoのEureka Parkは相変わらずスタートアップ祭り。

欲しいと思ったガジェット セキュリティカメラ+AI Cherryhome.ai

あらゆる機器、生活用品にIoTを組み込むスタートアップ。実際はテクノロジーに寄りすぎていたり、見せかけだけだったり共感できるものは少ないが、カルフォルニアのCherryhomeが開発しているAIセキュリティシステムは個人的に欲しいなと思った。

市場で流通しているIoTセキュリティカメラは、赤外線によるセンサやカメラ視野内で動きを検出するとスマホへ通知を送ることができる。このカメラはカメラ画像からKinectのように人の骨格を検出、背丈や動きの特徴から人の判別が可能。また、日常的な動きか、非日常、緊急かを判別することができる。

単純な通知ではなく、Insightsで状況を知れるのも良い。カメラ画像から必要な情報を抜き取って整理して伝えてくれるセキュリティの文脈に沿ったインタフェース。

高度な無監視。通知が必要ない。監視が全て自動化

デザインもこれまでのカメラ型メタファーとはせず、空間に溶け込む板を目指しているのが興味深い。ペットも同様の骨格検出で見守れるガジェットが展示されていた。AI基盤はまだまだ開発途上だが、こうしたスタートアップのアイデアと新しい技術開発が結集されてAIプラットフォームが「使える」サービスに近づきそう。

NESTもそうだったけどアメリカ発スタートアップはテクノロジー物に適していると感じる

Googleに買収されたNESTはIoTサーモスタットの先駆け的存在。ダイヤルを回して押すだけの超シンプルなインタフェース、生活スタイルを学習して適切な温度設定をしてくれる先進性で大きな話題になった。自分もアメリカ生活時には使用していた。

CherryhomeもNESTも生活の中でのタッチポイントが超シンプルで、勝手にこなしてくれるのが良い。生活の中にITが溶け込んだ姿とは操作を必要とせずとも、勝手に便利になっているのが理想的な姿で両者ともその方向を目指している。

多くのアメリカ発スターアップはその基本を押さえているように感じる。それはアメリカ人が基本的に怠惰(Lazy)だから、と考えている。怒られるかもだけど基本的にCouch potatoな国民性。だがその面倒臭がりな所が新しいテクノロジーの開発には最適。そもそも細かな設定や複雑な操作が必要となる機器は、ただでさえ複雑な今日の生活の中では到底受け入れられない。新しいテクノロジーを面倒臭がりでも使えるようにシンプルに設計する力の抜き加減が抜群だと感じた。

今の所複雑で使い物にならない色々なガジェット

ここまで作り込まれた製品は稀で、CESで発表された多くの技術・製品はほとんど使い物にならない。音声エージェントもARグラスも自動運転も全てが過渡期だ。今Google HomeやAmazon Echoを導入しても生活は複雑化するだけで、便利にならない。

なぜ照明を操作するのにAmazon EchoとHueを購入してIFTTTで連携させてわざわざ声で操作しなければいけないのだろう。高度化された人間味のあるAIならば言わずとも生活習慣を覚えて勝手に操作してくれる方が良い。最近のテクノロジーって便利になっているようで実は不便になっているのでは、とよく思う。

良い意味で力の抜けた、生活の中で自然に使える存在までテクノロジーが人間に近づく必要がある。まだテクノロジーオリエンテッドで開発されているAR系のアイテムでは難しい。VRはそういう意味では生活レベルに落ちる事はないと考えている。

IoT、3Dプリンター。。。

Sans Expoの2階には大量のメーカーが量産化されたIoT機器を展示。North Hallの一部には3Dプリンターブース。どちらもブームになったカテゴリだが、いまいちな展示内容だった。IoTといえば操作できる照明、3Dプリンターは色々な素材がプリントできる、とかで発展性が乏しかった。

明らかに物量は増えて経済圏は拡大しているのだけど、それらを使った有効的な決定打が未だに「無い」感じ。。コンシューマー向けとしてはこのままブームとして消えていくのかな。

 

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